曲がり角の惑い言

曲がり角ランデブーの人で、演劇を創ったり、あれこれする。

【終演御礼】team3E第5回本公演『フロントコールは0番へ』

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御礼

こんばんは。曲がり角ランデブーの人、

マガランこと真柄です。

とりあえず。

team3E第5回本公演『フロントコールは0番へ』

おかげさまで終演しました。

ご来場いただきました皆様、

気にかけていただきました皆様、

関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

本当にありがとうございました!

 

参加までの軌跡

 

昨年、自身初めての公演を打ったセミナーズは

まさに自主企画的なもので、

今回は初めて、お誘いの声をかけていただいて

参加した公演となりました。

声をかけてくれたのはteam3Eのコント作家で

戯曲セミナースタッフをされている梅咲ミヤビさん。

ちなみにteam3Eの前回公演では、

セミナー同期の伊藤悠子さんが同じように

戯曲提供で参加されていました。

今回、私は戯曲と演出も任せていただきました。

なんか自分でやりたかったんですね。他人事のように言いますけど(笑)

 

お話をいただいたのが年明け間もない時でした。

かなり光栄でわずかの間だけ逡巡して、受けることにしました。

わずかだけというのが少しポイントです。

一体何を迷ったのか?

今となってはもはや自分でも分かりません(笑)

ただ受けるとなってどうしようかと考えていて

その後に観覧舎の『回帰熱』という作品を観た訳です。

思えばこれが全てを繋いでいたんだと。

 

お話をいただいたぐらいの時点では

まだざっとした構想しか考えていなかったんですが、

この経験の浅い身の上で色々と考えを巡らせた時、

例え何を書いたとしても自分の作品に

合うのではないかと考えられたのが、

セミナーズで一緒に作品をつくってくれた女優、

寺坂光恵さんでした。

そしてこの『回帰熱』にはteam3Eに入ったばかりの甲斐文平くん、

今公演で急遽参加してくれた大西美香さんも出演されていました。

そこで観に行った後に会った寺坂さんに声をかけさせてもらい、

出演と相成ったいうことになります。

ありがたい話です。

そして自分も呼んでいただいた身の上でありながら、

我がままにも役者を伴ってまで参加させてくれた

team3Eさんには感謝に耐えません。

 

『イノナカ』について

年明けに話をもらってから、速攻で思案を開始したわけですが、

2015年初頭から自分の頭を離れなかったのが、

現在も続くIS(別称:ISIS、一時「イスラム国」とも呼ばれていた)

の問題です。フランスのシャルリーエブド襲撃から始まり、

痛ましい日本人人質事件など、ずっと頭の中にありました。

そこで自分なりに構想をめぐらせていた三人芝居を、

2月に行われた戯曲セミナー2013年度生による

第4回リーディング会に提出する予定でした。そう予定でした。

大事なことなので2回言いました。なぜ大事か?

 

結局間に合わなくて出せなかったんですね。

 

ただの言い訳、腑抜けです、ハイ。

そのために寺坂さんまで呼んだのに。

彼女は彼女でリーディングやセミナーの人たちとの交流を

楽しんでくれたのでそれはそれで良かったですが。

それと今回のテーマ「ホテルを舞台に」というのが、

思案の途中で上がってきたこともあり、

一度出来かけたものをそちらにシフトし直そうかと思いました。

がこれを1度なかったことにしました。

平成の(戯曲)破壊王の面目躍如です。

平行して行われた作家での会議で

キャストから配役の話となり、

そこで寺坂さん、甲斐くんの二人芝居をすることになりました。

 

「ホテル」という設定から

客や従業員などの登場人物、詳細な場所、場面の時という

セミナーで平田オリザさんに教わった基礎を考え、

自分の中で設定を固めました。

ここでいくつか『イノナカ』を作る上で考えたことを簡単に書きます。

(やってはいけないのかもしれないですが)

 

①「ホテル」の特性を体現する

→ホテルを客の視点から考えた際に、一時そこに泊まって時が経てば出て行く、ずっと留まらず絶えず人(客)が来てはどこかへ出て行くという特性を、世間知らずのお嬢様であるホテルのオーナーの娘(演:寺坂光恵)を使って表そうと思いました。

②内向きになりつつある志向への疑問

→個人的な感覚で、前述のISの件によってテロに過敏になったり、海外が遠くなるのではないかという懸念があり、また最近の政情やメディアに氾濫する「ニッポンって良いよね」を押し売りするような空気への疑問もありました。まさに「井の中の蛙」なのではないのかと。

③根拠がなくても何かをする

→これは完全に私的な思いです。自分自身でも演劇をやり始めてただ好きでやりたいからやっているというだけなので、何か周囲を納得させるような立派な根拠があるかといえば無い。私が演劇をやることに限らず、誰が何をするにも、もっともらしい理由がなくても行って良いこと、できることがあるのではないか、という思いを持っていました。

④『回帰熱』での繋がり

→ホテルのオーナーの娘がラストに言う台詞と振り「寂しかったらふらりとおいで」の出展は『回帰熱』です。観覧舎主宰で作、演出の杏上陽介さんが寺坂さんに振り付けをオーダーし彼女がつくったものを使いました。杏上さんは『回帰熱』を以って演劇活動を無期限停止されると聞いた時に、止むに止まれぬ事情とはいえ辞めざるを得ないのは何故だか無性に残念だなと感じて、杏上さんが書いて甲斐くんと寺坂さんの共演した『回帰熱』が片隅で生きているのを示したかったという、何やらクサい理由です。気持ち悪いですね。杏上さんとは直接面識ないのにも関わらずです。これだから俺、モテないんですね(笑)

 

ざっと言うとこんな感じです。

約15分ほど(実際は17~18分くらいでした)の枠として

纏め上げるのには四苦八苦しました。

台詞量がなかなか多く、役者には負担であり、

なおかつ終盤では稽古時間が足らず、演出も二転三転しながら、

役者陣の助言などをもらいながら、つくり上げました。

観に来ていただいた多くの方からいただいた感想から

色々課題は見えましたが、楽しんでいただけた、

または俳優の魅力を感じていただけたなら

幸いです。

今回の課題は、今後に活かしたいと思います。

 

関係者の皆様について

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今回はゲストということで、セミナーズの時とは違い

制作周りはお任せで残りで出来ることをやりました。

舞台美術もそれほど作るものも少なく、照明もシンプル、

ほとんど自分達だけでやるにはやりやすい状況ではありました。

ただ自分も照明吊れるけど手伝うほど仕事はなく、

やれることが少なかったです。

小屋入りしてからはあまり役に立ってない感があって

それでも舞台後方に設置したプロジェクターで

オープニングムービーを流す大役は任されました。

 

ただ一応時間があったので、

公演の合間を縫ってセミナーズの時もやった

卑怯で気持ち悪いことを行いました。

これについて知りたい方は

直接僕に会った時に聞いてください。

本当に卑怯で気持ち悪いです(笑)

 

ここから簡単にキャストについて御礼を。

 

寺坂光恵さん

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今回もお世話になりっぱなし。彼女の持ってる愛らしさを前回とは少し違った形で表現できていれば幸いです。舞台に限らず映像などでも、まだまだ色んな魅力を秘めていると思うので、彼女は今後確実にレベルアップしていくでしょう。自分も刺激を受けてさらにレベルアップしなくてはと感じています。またいずれ良い機会でご一緒したいなと思ってます。ありがとうございました。

 

甲斐文平くん

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team3Eの役者にしてセミナーズでも座組は一緒でしたが、寺坂さんと同じく絡みがほぼ無かったので、今回がっつりと稽古させていただきました。稽古中は演出面で提案を色々もらったり、オープニングムービーやPVをiPhoneだけで作ったり、舞台監督や稽古場の手配など細やかでしっかりした仕事ぶりに何度となく助けられました。個人的に彼が表現者として持っている思いを聴くことができたのは良かったです。ありがとうございました!

 

大西美香さん

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急遽降板した方に代わって速攻のレスポンスでご連絡をいただき、参加してもらえて一同大助かり。その持ち合わせたナチュラルで優しい魅力と、コントで見せたキャラクターとのギャップがとても素敵でした。自分も知っている凄い方のレッスンを受けられているということで、今後がさらに楽しみになってくる女優さんです。ありがとうございました!

 

高橋紗綾さん

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直接関わりはなかったですが、稽古を拝見するに「ザ・女優」さんという感じで、ONとOFFモードの切り替わりが凄いなと。普段の素と役柄が離れているほど、その凄さを体感する、そんな感じでした。稽古や本番の合間に自身の演技の出来に試案し、悩んで悔やんでいる姿がとても印象的で勉強になりました。そして今回稽古場がずっと楽しかったのは、度々宇宙と交信していた彼女のおかげかもしれません(笑)今度は是非とも自分の作品にキャスティングしたい女優さんです。ありがとうございました!

 

嶋田奈津未さん

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高橋さんと同じく直接の関わりはなかったですが、ご一緒出来て良かったです。コント『プラン』などを観ると分かるかと思いますが、本当に声が素敵。よく通るしそれでいて淀みがないのは素晴らしいなと。専門学校でミュージカルを学ばれた経験があり、歌がもの凄く上手いです。関西出身で良い声の関西弁に訛るところも素敵。自分もいつかミュージカルか歌劇をつくってご一緒したいなと思える女優さんでした!ありがとうございました!

 

矢野智之さん

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team3Eの主宰にして、作家、役者でお笑い芸人でもある矢野さんは自分より若いながら色んな経験を積まれており、稽古場でのウォーミングアップなどは時折一緒にやったりして、とても参考&勉強になりました。同時に他公演の台本提供も抱えながら、コントと演劇の2作品の作・演出やりながらもきっちり自分が舞台に立てるのは凄いなと刺激を受けました。ありがとうございました!

 

梅咲ミヤビさん

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team3Eの作家である梅咲さん、今回稽古場をご一緒してコントについての色んな演出とか自分の構想をしっかりもたれているのを折々で感じていました。また制作周りなどで素敵なチケットを作っていただいたり、事務系の作業でもしっかりと支えていただきとても頼もしくて安心して公演に臨むことができました。ありがとうございました!

 

また音響・照明を担当していただいた鈴木在人さん、

製作のお手伝いをしていただいたteam3Eの五十嵐愛さん、

声の出演をしてくれたteam3Eの板倉一季さん、

阿佐ヶ谷アートスペースプロット の小屋主の藤原さんにも

御礼申し上げます!お世話になりました!ありがとうございました!

 

終わりに

 

とりあえずと言っておきながら、もの凄く長くなりました。

長々とありがとうございました!まだまだ正直言い尽くせないです。

これからの皆さんの活躍を楽しみにしつつ、自分も頑張らなきゃなという所存です。

前回のセミナーズが終わった後はだいぶモチベーションが落ちましたが、

今回はとにかく次をどういった形でやるべきかを色々志向しているところです。

奇跡的に落ちていないモチベーション。

まずは諸々の戯曲賞に応募するために作品を書いていきます。

 

改めて演劇が何で好きになったのかと言ったら、おそらく「人」だと思います。

とにかく基本的に「人」を描くのが演劇であり、それに携わるのも「人」、

「人」と関わりそれを描いていく手段で自分が気に入ったのが、

確かに演劇なんだと思います。

そういったことに気づけたところで、

これからさらにその点を突き詰めていこうと思います。

兎に角、感謝しきれません。

ありがとうございました!

来週だ、ほい!

もう気付けば来週本番という。

なんか演劇人らしいことを言いつつ、
今日はお試しでポッドキャストを録音。

演劇をやり始めたオジサンたちの駄弁です(多分)

公演の宣伝もやるんですが、

本番前にアップできるのかどうか。

 

よろしくお願いします。

 

team 3E 第5回本公演
『フロントコールは0番へ』
ある大規模シティホテルを舞台に繰り広げられる
4つのシチュエイション。
コント2本&短編戯曲2本のオムニバスでお届けします。

【作・演出】
梅咲ミヤビ(team 3E)
真柄茂和(曲がり角ランデブー)
矢野智之(team 3E)

【出演】
甲斐文平(team 3E)
嶋田奈津未
高橋紗綾
寺坂光恵
大西美香
矢野智之(team 3E)

【日時】全3回公演
4月16日(木)20時~
 17日(金)14時~/19時30分~

※当日券販売 及び 開場は各回開演の30分前からとなります。

【チケット】
1,500円(予約、当日とも/全席自由席)
※当日精算のみ

【場所】
阿佐ヶ谷アートスペース プロット
JR中央線東京メトロ東西線 阿佐ヶ谷駅下車10分
東京メトロ丸ノ内線 南阿佐ヶ谷駅下車3分

地図→http://goo.gl/NiKRIn

【ご予約】
ご予約は2パターンございます。
①メールフォームから予約。
http://goo.gl/JlMlFY
※備考欄にお目当ての役者、作家名をお書き添え下さい。
 
②メールを送って予約。
宛先:threee2011@gmail.com
・お名前・希望日時・希望枚数・誰扱いかをお書き添え下さい。

公演情報や稽古場風景は以下のブログにて
随時公開中です。
【team 3E ブログ】
http://threee2011.blog65.fc2.com/

また公演が・・・。

何というか、しばらく書いてないうちに2015年になり、
2月もあと1週間で終わりです。

早い。光陰は矢だ、本当に。

そんな中、ありがたいお誘いを頂いて、
また演劇ができることと相成りました。

個人的には、例え如何なる事情によって
これが最後になっても良いように
悔いなくやっていこうと思います。

よろしければ、来た頂けると幸いです。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

team 3E
第5回本公演
『フロントコールは0番へ』

【作】
梅咲ミヤビ(team 3E)
真柄茂和(曲がり角ランデブー)
矢野智之(team 3E)

【出演】
甲斐文平(team 3E)
嶋田奈津未
高橋紗綾
寺坂光恵
三井田明日香
矢野智之(team 3E)

【日時】全3回公演
2015年 4月
16日(木)20時〜
17日(金)14時〜・19時30分〜
※当日券販売 及び 開場は各回開演の30分前から

【入場料】
前売り当日とも1, 500円 全席自由席

【場所】
阿佐ヶ谷アートスペース プロット
JR中央線東京メトロ東西線 阿佐ヶ谷駅下車10分
東京メトロ丸ノ内線 南阿佐ヶ谷駅下車3分

【ご予約・お問い合わせ】
ご予約は、お名前・希望日時・希望枚数をお書き添えの上、
threee2011@gmail.com までお願いします。

詳しくはこちらを↓
http://threee2011.blog65.fc2.com/blog-entry-125.html

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

しばらく考えることを休みます。

ここ最近で色々とお騒がせしています。

精神不安定気味ですが、何とか保っていると思われますので、
今の状況を簡単に綴ろうと思います。

最近お会いした方々には
来年またなんかやりたい、なんてお話をしたりしてましたが、
しばらく考えることを休みます。

ええ。

原因は特にこれだということはないのですが、
ごく最近のことで言えば、
短期間に一気に観劇し過ぎて飽和しているかなとか、
やっていくことで考えなければならないことが出てとか、
色々と煩わしくなってきています。

主に考えることが煩わしい。
戯曲を書くとか、上演することも。

やっぱり年間200本とか観ている観劇おじさんにはなれないです。
凄いと思います。上には上がいます。

それは極端だとしても、
正直、最近は演劇観るにも
ときめくというか、ワクワクすることが
少なくなっているなと感じ始めています。

アイディアも何も浮かんでこないです。
いくら考えようとしても何も浮かびません。

先日も戯曲セミナー2013年度のリーディング会がありましたが、
皆、良い素材を自分自身の中に持っているし、
やりたいことも色々あるんだなと。

俺、そんなに思い浮かばないです。
そんなにないですよ、と。

なので、またセミナーズやるにも、
やる気がある人たちで集結して
公演を打っていくのが良いかと思います。

他の人もどんどん公演打ったりすれば良いと思います。
良い作品を創れる人がもっといるはずだと思ってます。
やるか、やらないかの違いだけです。

演劇に限らずこれまでの経験上、
やる気のある人たちの集まりの中に
やる気のない人がいることほど不毛なことはないです。
絶対うまくいかないです。
諍いウェルカムな状態で何をやれと言うのか。

来年は観劇も抑えようと思います。
諸々の事情も鑑みながら。

ここまで読んで、
甘ったれてるなと思う方もいるかと思います。
正直、俺もそう思います(笑)
だからやれないし、やらないのです。

いつになるのか、またやれる日は来るのか、
それは分かりませんが、
自分の気持ちが戻るのを気長に待っている、
そんな感じなのかもしれないです。

説教してください

SNSではつぶやけないので
こちらに書きます。

 

演劇に関わっていて
公演を打つとか
実態を学んでいくと
それなりに厳しく、
シビアな部分も分かってきます。

 

何をするにも最初は初心者、若輩者であるから、
経験のある先輩方からシビアなこと教えてもらうのは
とても貴重なことです。本当に有り難い。


ただ。


ただ、ことあるごとに
色んな時、様々な人から、多様な言い方で、
シビアであることを言われます。
それは仕方ないことです。

 

それを聞くたびに、
人によっては
またその時によっては、
迷ったり、悩んだり、躓いたりします。

 

悩むよね、人間だもの。

 

迷うよね、始めから完璧ではないもの。

なんか相田みつ〇みたいになってるけど(笑)


例えば演劇で才能がない等々で
それに気づいて潔く諦めて
普通に就職するっていうけど、
元々演劇の側にいなかった立場から言わせてもらえば、
演劇人がだめだったときの保障で
その他の仕事があるわけではないから。

 

こんなこと俺が言わなくても
元より演劇で食べていない多くの演劇関係者は
他で仕事をされているから、分かっていると思います。

 

表現活動、芸能・芸術活動で大成しないと
それを捨ててって言うけど、
いわゆる「普通の」社会人?と言われるんですかね、
それも全く違う世界とも言えないんじゃないかって思います。

 

そりゃ仕事で演劇のスキルとか知識を使う職場なんか
ほとんどないだろうし、
今の時代は演劇はおろか映画とか芸能、芸術と関わりがあるのは
ごく一部の企業くらいしかないけど、
要は何事も芸の肥やしになる。

それよりも前に世界を明確に区切り過ぎようとするのは
どうなんでしょうか?

 

世界を、
区切ることがダメなのではなくて、
区切ることにこだわり過ぎるのがよろしくない。

 

演劇(その他の芸術)の世界と普通の世界。

普通の世界だって、大工とかの技術職の世界もあれば、
オフィスで働く世界もある。
現実的に世界によって格差とかあるんだろうけど、
今の時代、手に職を、なんて言っているから
正社員の肩書なくなったら、俺は何もできないただの男です。

 

少し話がそれました。

 

つまり「正しい」とか「普通」なんて見る側によって変わるし、
何を言っても当てはまるところと当てはまらないところがあるもの。

 

中途半端に分かった気になっていて
中途半端な立場から言ってくれても
シビアだという分かりきったこと以外に何も響いてこない。

それこそ俺の知っている「演劇に命懸けて挑んでいる人達」には
絶対に響かない。

 

最近反省しているんですが、
観劇おじさんとなって
公演も打って
知り合いが増えて
ちょっと分かった気になっているのがダメで
考え直さなきゃいけないかなと。

 

どの世界も流れる水のように
形を定めることはなく、
留まるときもあれど、
その時の状況によっていかようにでも変わる。
連綿と過去から受け継ぐもの、引き継ぐものもあり、
少しずつ変えていくものもある。
「正しい」とか「普通」とか「一般」といった考えを理解しながら
その考え方すらも変わっていく。
それは、どの世界にいても同じこと。

 

こんなこと言ってるので説教してください。

マゾじゃないけど、甘いところとか青いところとか

あるので説教を受けたい。

厳しい現実を教えて下さい。

 

そう言ってて

「お前は何様なんだ!?」と言われそうです。

 

こう言っておきます。

「通りすがりの劇作家だ。覚えておけ!」と。

『谺は決して吼えない』

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一色洋平×小沢道成『谺は決して吼えない』

 

王子小劇場の新企画、「俺がやらなきゃ誰がやる」。
経済的な問題など諸々の諸条件がクリアできたら
乗っかりたい画期的な企画の第一弾。

 

トップバッターからこの二人の作品って
後に続く人が尻込みしちゃいそうな二人だ、本当に。

 

一色洋平。
高校時代に陸上でトップクラスの実績を持ち、
個人的にもスポーツインストラクターとして教示いただいたり、
2年前の犬と串、『ペール・ギュント』以来
ほぼ全ての出演作品を拝見してきた。

 

小沢道成。
初めて観たのが、昨年のアマヤドリ『月の剥がれる』の客演で
二人の出会いとなった作品らしい。
所属している虚構の劇団『エゴ・サーチ』も拝見した。

 

で今回の『谺は決して吼えない』。

 

ネタバレしない範囲で言うと、
この二人、身体能力については随一。
「一色洋平の持つ力(そのごく一部)」=「常人を超えた身体能力」に
ちゃんと役者として対応できる小沢道成という構図。
一色洋平の全力を時に受け流し、時にさらっと返す小沢道成、
その時の表情が印象的だった。

 

今作は、世界観として
巻き込まれる一色洋平と
翻弄する小沢道成
という関係性が主ではあるけれど、
必ずしも全てがそういう形には収まらない。

 

場面によっては
物語上での立場を超えて、
ある意味でいう優位が入れ替わる。

 

二人が立場、世界を変えて掛け合い、
台詞なり動きなりの掛け合いが
ぶつかって色んなエネルギーを生む。
それはちょうど良い粗さと心地良さ。

 

舞台装置とか舞台の組み方も良い。
客席の数はあまり確保できないかもしれない。
最前は近いが、高さが確かにあるので
舞台(世界)との境界は確かにある。
しかし客席も巻き込んでいるな、というのは
照明の扱い方で感じられた。
そこで客席も世界を構成する一部なんだと感じさせられ、
観ている側が移入しやすいなと。

 

テキストも良かったから買っちゃったよ(笑)
まだ手元にはないけど。
シンプルだけど二人芝居でなおかつ
彼らの力をちゃんと伝えるに適してたのかな。

 

色々こうしたら面白いなっていうのが浮かんじゃった。
時折舞台観てて「こうした方が良いな」と思うことがあるが、
この『谺は決して吼えない』については
すでに一つの完成形として成り立っているが、
加えて観た後でポジティブに
「こうもしたいな」
「こんなのも面白いんじゃないか」
「こういうのでもやってみたい」って、
想像したりしてその後が膨らみ楽しめるなって思った。

 

ここまで言ってて気持ち悪がられるかな(笑)

 

本当に観て、様々なところに刺激を受けたし、
楽しかったし、好きだわ、こんな演劇。

二人芝居を作った身としても
色々勉強になった。

8/5-8/24

8/5(火)
miel『す き と お り』@スタジオ空洞


短編作品をオムニバス形式で。
先日自分たちが上演したようだが、
実際には数名のキャストが作品ごとに
何名かで演じ分け、
合間にダンスやパフォーマンスを挟む。

 

スタジオ空洞のシンプルな空間に
白を基調とした舞台美術と衣装で
観ている側も心が軽くなるよう。

短編も、

糸井幸之介(FUKAIPRODUCE羽衣)
末原拓馬(おぼんろ)
戸山美咲(ミナモザ)
登米裕一(キリンバズウカ)
セガワアユム(MU)
米内山陽子(トリコ劇場/チタキヨ)

の豪華な劇作家陣提供のテキストを
達者な役者陣が演じる。

 

聾者の女性の妊娠と出産までの経緯を描き
モノローグと手話の使い方が良い「 」(米内山陽子)、

たばこの銘柄により各人の性向が分かれる
喫煙者たちのゆるい会話を描いた「好き通り」(ハセガワアユム)、
結婚できないお局女性社員の心情を綴った「隙のない女」(登米裕一)

特に良かった。

 

齋藤陽介(ホチキス)、辻貴大(カムヰヤッセン)ら
若いキャストも多いけれど面白く、しっかりと魅せてくれて見応えあり。
というか役者が全員良い。

こういうオムニバスをやってみたいな。


8/16(土)
KAKUTA『痕跡』@青山円形劇場

 

今年のベストに入りそうなほど、良かった。
円形劇場を活かしているし、
派手ではないけれど、照明で表現した雨が良かったな。
視覚的に単純に綺麗だったし。

事故にあった少年(レインコートを着ている)の描写も良かった。

各登場人物の台詞の中にタイトルと同じ音の「あとあと」
(意味は別で「後々」など)という言葉を自然と含ませる小気味よさ。

ストレートプレイだが笑いもあり、
終盤は大体シリアスに向いていくものだが、
その中でも、ふっと思わず笑ってしまうような場面があったりと
緩急のバランスが良い。

役者に関しては、逆にどこか悪いところがあるのかを
聞きたいくらいの演技で魅了された。

観た回ではちょっとしたハプニングがあったけれど、
それをも気に留めさせない良さがあった。

初めてKAKUTAを観たが、本当に素晴らしく、良い時間だった。

青山円形劇場は残して欲しい(いつかやりたい)
てか、こどもの城をなくすな!思い出が消える・・・。


・平原演劇祭2014第二部『朗読劇・秘密の花園』

 

ちあきーぬ(松岡千明)の小劇場として(?)ラストの
リーディングを観に東武動物公園へ。本人には内緒で。

しかし、遠い。東武スカイツリーラインなんて初めて乗ったし。

会場は東武動物公園の入り口より少し行った先にある池の上。
まさに池の上に浮かばした浮き橋の特設会場。
片側に体重を掛けっぱなしだと沈むような感じ。
雨も降ってたのでズブ濡れ。

さらにはみんな各々池に飛び込むわ、
池を泳いでいく、泳いでゴムボートを引っ張ってくる等々。

さらには東武動物公園のイベントで間近に上がる花火。
ものすごい轟音の中、続くリーディング(笑)

いろんな意味で面白かった。
唐十郎の戯曲は難しかったけど。

ちあきーぬの女優魂を観た。
これで小劇場から離れるのは残念だけど、これからも応援。

いつか自分の作品に出て欲しい。


8/17(日)
ズッキュン娘。『ダーリン!ダーリン!』@シアター風姿花伝

 

オール女優のラブコメディ。
ダブルキャストのBチームを観た。

足立くんという核になるキャラクターを登場させず、
観客の想像に任せるのは面白かった。
過去にも同様に登場しない人物を設定した演劇は何本か観たことがあり、
周囲の人物がどのように想起させるかが重要になる。
ベタ惚れの恋人であったり、亡き夫の面影を残す存在であったり、
単純にイケメンで憧れの的になっていたり。

どんな人物だろうかと想像するのが良いが、
男目線だとワクワク感が盛り上がりづらいか。

先日、犬と串のナンセンス世界で楽しませてくれた綾乃彩
ズッキュン娘。の作・演出も努める藤吉みわが安定感あった。
主人公の友人、とし子役のおおたさゆりが面白かったな。

個人的には熊谷有芳が個人的に眼福でした(笑)
少ないシーンでも物語を整理してくれるし、
普段はイケメンっぷりな格好良さが押されてしまうので
女優としての魅力を改めて確認できたのが良かった。


8/24(日)
コロブチカ『神と遊べば』@下北沢小劇場b1

 

イケメン女優、コロ主宰ユニットの
コロブチカの第5回公演で初の長編。

前回に観たのは、ぬいぐるみハンターの池亀三太脚本の
『Shooting Pain』だった。

今回は、まさに俳優の見本市。
主宰のコロ、ゲキバカ/梅棒の伊藤今人、ヤコウバスの港谷順、
西郷豊を始め、魅力的なキャストたちが27人。

彼らが、神々とそれにかかわる人間たちとの一騒動を描く。
ストーリーは以上のように場合によっては一言で言えるほど
単純明快かつテンポ良く進む。
逆にテンポ良すぎて、一気に飛ばして進むところもあったり。

所々で少年ジャンプ的世界観だと言われるが、
なるほど物語の下敷きがまさにドラ○ンボール。
キャラもあれがモデルかな?とか、
そのまんまやないか!というのも。

ただ大人数での群舞は圧巻。
もう少し広い舞台であればもっと縦横無尽にやれたかなとも思う。
が、そのカオスで猥雑な感じは良かった。
もっとダンスパフォーマンスのシーンが多くても良かったかも。

ただ今回のような舞台を二方向から観るタイプの客席は好き。
対面で向井側の観客と真正面で向き合うのでなく、
他の観客の表情がちらっと目に入るくらいが良いなと思った。

終盤で唯一のコロ登場シーン。
ふわっとした戯曲について語るみたいなコーナー?

要は見方によってテンポ良すぎて残ってしまう疑問に対して、
一旦、劇から離れてコロがお答えするというもの。

キャストが素に戻って質問を投げかけるが、
次第に前列の観客へ質問を促す方向へ。

ある意味戯曲の未完成を逆手にとったアイディアと言えば斬新。

ただ観客は聞きづらいのかなとも感じた。
たとえ疑問が明確にあったとしても
これから終盤のクライマックス前というところで
質問することで進行を妨げてしまう可能性もないこともない。

ラストは勢い任せで終わった感があるので、
芝居部分はもう少し練った方が良いのではと感じた。

ただ役者やキャラの特性の魅力は伝わってきたので、
そこを活かせたらというところ。

今回気になった役者さん→全員(笑)

あえて挙げるなら。

知っている方、観たことがある方。

伊藤今人(ゲキバカ・梅棒)
西郷豊
港谷順(劇団→ヤコウバス)
前園あかり
瑞帆
有田杏子

おそらく初めて観た方。

畠山智妃
林大樹
谷野まりえ(劇団PEOPLE PURPLE)
林直子(ひげ太夫)
豊田可奈子
的場司(Bob jack theater)
植草ゆりこ
高橋明日香(kitt)