曲がり角の惑い言

曲がり角ランデブーの人で、演劇を創ったり、あれこれする。

『谺は決して吼えない』

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一色洋平×小沢道成『谺は決して吼えない』

 

王子小劇場の新企画、「俺がやらなきゃ誰がやる」。
経済的な問題など諸々の諸条件がクリアできたら
乗っかりたい画期的な企画の第一弾。

 

トップバッターからこの二人の作品って
後に続く人が尻込みしちゃいそうな二人だ、本当に。

 

一色洋平。
高校時代に陸上でトップクラスの実績を持ち、
個人的にもスポーツインストラクターとして教示いただいたり、
2年前の犬と串、『ペール・ギュント』以来
ほぼ全ての出演作品を拝見してきた。

 

小沢道成。
初めて観たのが、昨年のアマヤドリ『月の剥がれる』の客演で
二人の出会いとなった作品らしい。
所属している虚構の劇団『エゴ・サーチ』も拝見した。

 

で今回の『谺は決して吼えない』。

 

ネタバレしない範囲で言うと、
この二人、身体能力については随一。
「一色洋平の持つ力(そのごく一部)」=「常人を超えた身体能力」に
ちゃんと役者として対応できる小沢道成という構図。
一色洋平の全力を時に受け流し、時にさらっと返す小沢道成、
その時の表情が印象的だった。

 

今作は、世界観として
巻き込まれる一色洋平と
翻弄する小沢道成
という関係性が主ではあるけれど、
必ずしも全てがそういう形には収まらない。

 

場面によっては
物語上での立場を超えて、
ある意味でいう優位が入れ替わる。

 

二人が立場、世界を変えて掛け合い、
台詞なり動きなりの掛け合いが
ぶつかって色んなエネルギーを生む。
それはちょうど良い粗さと心地良さ。

 

舞台装置とか舞台の組み方も良い。
客席の数はあまり確保できないかもしれない。
最前は近いが、高さが確かにあるので
舞台(世界)との境界は確かにある。
しかし客席も巻き込んでいるな、というのは
照明の扱い方で感じられた。
そこで客席も世界を構成する一部なんだと感じさせられ、
観ている側が移入しやすいなと。

 

テキストも良かったから買っちゃったよ(笑)
まだ手元にはないけど。
シンプルだけど二人芝居でなおかつ
彼らの力をちゃんと伝えるに適してたのかな。

 

色々こうしたら面白いなっていうのが浮かんじゃった。
時折舞台観てて「こうした方が良いな」と思うことがあるが、
この『谺は決して吼えない』については
すでに一つの完成形として成り立っているが、
加えて観た後でポジティブに
「こうもしたいな」
「こんなのも面白いんじゃないか」
「こういうのでもやってみたい」って、
想像したりしてその後が膨らみ楽しめるなって思った。

 

ここまで言ってて気持ち悪がられるかな(笑)

 

本当に観て、様々なところに刺激を受けたし、
楽しかったし、好きだわ、こんな演劇。

二人芝居を作った身としても
色々勉強になった。